スウェーデン語専攻の卒業生に、当時の思い出や学び、卒業後の進路についてインタビュー!
初回となる今回は、2010年度入学の長尾優香さんにインタビューしました。

太字:聞き手(学生)、細字:長尾さん
スウェーデン語専攻を選んだきっかけは何ですか?
通っていた高校の姉妹校がスウェーデンにあり、夏休みに2週間スウェーデンに行ったのがスウェーデンとの出会いでした。自然や人、生活が日本と全然違うことがとても楽しく、またホストファミリーがスウェーデン語で話している様子を見てスウェーデン語の響きに惹かれました。この経験がきっかけで、スウェーデン語専攻に入りたいと思うようになりました。
スウェーデン語専攻での思い出を教えてください。
当時のスウェーデン人の先生と学生たちとで一緒によくご飯に行っていたのも1つの良い思い出ですが、留学が1番の思い出ですね。
どのような所に留学していたのですか?
ヨーテボリから電車で1時間くらいの所にある、Hjälmared folkhögskola(イェルマレード国民高等学校)に留学していました。メディアやデザイン全般に関するコースで、新聞記事の書き方や、動画や写真の撮影・編集方法などを20人くらいのクラスメイトと学んでいました。




実際に行ってみてどうでしたか?
8月にスウェーデンに来て翌年の2月まではずっとスウェーデン語が上手く話せないという悩みを抱えていました。特に最初の3か月が一番しんどかったです。大学で2年半勉強して来ているので自分の言いたいことを話せはしたのですが、相手の話すスピードについていけない日々が続いており、先生に相談し、11月から移民向けのスウェーデン語の授業に出席もしましたが、上達しない状態が続いていました。しかし、2月に転機となる出来事がありました。Temaveckaという自分の所属しているコースとは別の内容を体験できるというカリキュラムがあり、(私は大学でダンスサークルに所属していたので)ダンスコースを選んだところ、5日間のうち2日間ダンス講師をすることになりました。自分が好きなことで自分を表現したりみんなをリードすることで、自分をもっと知ってもらえ、周りとのコミュニケーションが変わり、友達がより友達になる感じがしました。その時、自分の言いたいことは言えても自分のキャラクターを出せていないことが悩みの原因だと判りました。それ以来、発言も増え、スウェーデン語のレベルも急に上がったため、とても良い経験をしたと思います。
また、元々留学を通して、「スウェーデン人並みにスウェーデン語を話せるようになる」という目標を持っていました。その目標を達成したと言える定量的な結果として、フォルクのコースを修了した後に現地の新聞社で1か月のインターンも自ら実施しました。
留学中にコースの一環でインターンをした人の話は聞いたことがありますが、自分からインターンを探して行かれた方は初めて聞きました!インターンのことについてもう少し詳しく教えていただけませんか?
冬に、授業の一環として1週間カフェで、2週間新聞社でインターンをしました。新聞社では記者としてインタビューを行い記事を執筆しました。そしてコースが終わった後に、同じ新聞社に今度は、自分のより興味のある編集業務でもう1回インターンをさせてくれないかとお願いしたところ、快諾してもらえました。インターン中は、新聞記事の編集の仕事をしていました。
なぜ、フォルク終了後に更にもう一度インターンをしたいと思われたのですか?
授業の一環でインターンを行った時期が、先ほど話した転機が訪れる少し前で、気持ち的にも落ち込んでいる時期でした。周りのスウェーデン人はみんな自分でインターン先を確保しているのに、私はコネクションが一切なくインターン先を探せず、結局担任の先生のつてでカフェと新聞社に行くことが出来たのですが、スウェーデン人並みに話せるようになる、とはすなわち仕事が出来る言語レベルにまでなる、という目標であり、自分でアレンジ出来なかったことが悔しかったため、もう一度チャレンジしたいと思いました。実はこのときデザインファームを中心に複数企業に履歴書を出したのですがうまくいかず、最終的にこの新聞社に引き受けてもらえたという流れです。


留学中にそこまでメディアやデザイン関連のことを学んでいたら、留学から日本に帰ってきて就職活動を始めた際、留学の経験を活かそうと出版業界とかを考えたりはしなかったのですか?
スウェーデンを含め多くの国では大学での専攻をそのまま仕事に活かすことが多いですが、日本がそうでないことに初めは違和感を覚えました。デザイン系や出版社も検討しましたが、企業を見ていくうちに、逆に日本は、今までのバックグラウンドが関係ないポテンシャル採用であるからこそ、色々試してみたいと思うようになりました。(ポジティブに捉えていた訳ではなく、そういうものなのかと受け入れるような気持ちでした。)また、自分のバックグラウンドを生かした採用は転職後でもできるだろう、と考えました。
私たちもまさに似たようなショックを受けて日本の就活を受けいれるのに少し時間がかかりました(笑)。日本で就活モードに切り替えてから、志望先を商社に決めたきっかけは何でしたか?
総合商社になったのは本当に偶然です。複数業界の企業にエントリーしましたが、商社は全く範疇外でした。たまたま大学の先輩が今の会社の内定者で、そこで初めて総合商社の存在を知りました。そして選考が進んでいく中で総合商社が残ったという感じです。
他の会社と迷われたりしなかったんですか?
あまり迷いはしませんでした。総合商社を選んだのは面接時に一番自分で居られ、楽しいと思ったからです。思っていたよりもどの面接官も気さくに話してくれリラックスして臨めました。また、採用ページのブログに人事担当者が投稿した文章の中に「努力をしたからこそ今の自分があり、その努力が出来る土台があるこの会社にある」というのがあり、「それなら私も入ってから努力で頑張れる」と思えたのも、今の会社を選んだ決め手になりました。
現在、どのようなお仕事をしているかお伺いしても良いですか?
現在は駐在先のインドで住宅開発事業を行う会社に出向しています。各部署からの情報・意見に基づき物事を判断する立場のCEOの補佐として勤めています。



社会人になった現在、スウェーデンとの関わりは何かありますか?
残念ながら旅行以外は有りません。コロナ禍になり、自分を見つめなおす時間が増え、自分は何ができるのだろうと思った時に、やっぱりスウェーデンが大きな強みだと思いました。まずはスウェーデンの生活、文化を周りに発信することを始めたいと思い、Instagramのアカウント(@laangsvans)を立ち上げ、スウェーデンに関連するイラストを描いて、説明と共に投稿するようになりました。その一環として、イラスト展示会を何回か開いたりもしました。(今はインドにいるので活動できていません。。)
これからその活動を更に増やしていく予定はありますか?
スウェーデンに関わる活動を増やしたいなとはずっと思っているのですが、ここ2年くらい仕事が忙しくてイラストにも全然手が回っていないです(笑)。
将来的には自分がやってきたことを軸に、スウェーデン×デザイン×不動産をかけ合わせて何か出来ないかなと思っています。まずは知識を、ということで2024年4月から京都芸術大学の空間演出デザインコース(通信)に入学しました。


最後にスウェーデン語専攻の学生や、これからスウェーデン語専攻に入ってくる人たちに向けてメッセージをお願いします!
過去に戻れるとしたら大学時代に戻りたいと思うくらい、スウェーデン語に全力を尽くしていたなあと今振り返っています。みなさんも熱中できることに自分の時間を思いっきり使って欲しいです。また、スウェーデンが好き、ということを共有できる仲間がいるのは貴重です。卒業して10年ほどたった今もその仲間と繋がれているのは本当に財産だと思うので、みなさんもそういった繋がりを大切にして頂けたらなと思います。